ラブ・ミー・テンダー 〜シブヤ映像の秘密 (1)

さまざまな工夫が凝らされている『Sh15uya』の映像。

Face.08 テンダーカット1
Face.08 テンダーカット2
Face.08 テンダーカット3

そのひとつが、カット内エクステンダー。

「エクステンダー」というのは、カメラにメガネをかけるようなもの。これを入れると、画像サイズが2倍に大きくなります。
『Sh15uya』は、このエクステンダー(略してテンダー)を、映像効果として積極的に活用。撮影中にテンダーを入れることで、ワイプのようなオーバーラップ(ディゾルブ)のような、ふしぎな効果に……。

Sh15uya の現場には、「このカットはテンダーで」「テンダーでーす」とか、怪しい会話が飛び交います。(^^;

たちまちテンダーのとりこになったのは、8話から参加のベテランスクリプター・佐々木禮子さん。
「このカットはテンダーにしたらどお?」
と、積極的に監督に提案したり、
「テンダーって面白いわよー!」
と布教しまくったり───って、お相手は藤田まことさん?! ちょっとハマりすぎかも!

レンズ
「EXT.」とあるのがエクステンダー

一方、気が気じゃないのは撮影部スタッフ。
テンダー!」と監督の声がかかると、緊張感が走ります。テスト(カメラリハーサル)の回数も、本番のNG率も激増してしまう、C難度のワザなのです。

「テンダー」というと、やさしげな響きの言葉ですが、実態はむしろハード。「引きと寄り、2カットぶんの絵がいっぺんに撮れて楽ちん〜」、なんてことはないんです。
エクステンダーの前後で、フォーカスや絞り値(画面の明るさ)が変化するので、カメラマンとVE(ビデオエンジニア)さんが、エクステンダー操作と同時に呼吸を合わせていくつもの調整をこなさないと、単にミスった映像になってしまうわけ。

監督は、リリアン・ギッシュ(女優)の魅力を伝えたかった。
カメラマンは、リリアン・ギッシュのそばにいたかった。
そして、クローズアップという技法が発見された。

なんて逸話が、映画には伝わっています。
美しい話です。
「クローズアップの発見」なんて、いまとなっては「ハァ?」って感じですけど、舞台中継みたいのばっかりだった映画草創期には、衝撃映像だったみたいです。けど、どれほど画期的なテクニックだったとしても、それが「発明」としてではなく、「発見」として生まれたのは、映像にとって幸せなことでした。
そのときクローズアップは、単なる技術ではなく、人が人を愛する思いを、人と共有するための方法として生まれた。
映画が、単なる中継録画映像としてではなく、「人の思いを伝えるメディア」としての道を歩みはじめた瞬間だったのだと思います。

映像って、そういうものだと思います。

人が、人を撮って、人に伝える。
撮るのも人、撮られるのも人。そして、見るのも人。
あくまで「人」。
それが映像なんです。
『Sh15uya』は純デジタル機材で制作されていますが、「高精細な映像」 よりも、むしろ「人の思いを感じさせる映像」をお送りしようとしています。

「演出テクニック」を超えて、スタッフの思いさえ伝わる映像を!
そのためには、どんな難度の高いことでもやろうとする若いスタッフたち。その思いを汲んでくれるベテランスタッフたち。そんな『Sh15uya』スタッフの思いは、映像として結実していきます。
そのひとつが、こうしたテンダーカット。

解説するのは、ヤボかもしれませんが、それもまた「思い」ってことでご容赦を。
というわけで、Sh15uya 映像の秘密を追っていきます!

※ エクステンダーは「テレコンバーター」ともいいますが、前者はカメラレンズ内蔵、後者は外部オプションというちがいがある気もします。ちなみに Sh15uya のような使い方は、レンズに内蔵されてないとできません。

Posted: Sun - March 6, 2005 at 08:15   [] [