さまざまな工夫が凝らされている『Sh15uya』の映像。そのひとつが、カット内エクステンダー。「エクステンダー」というのは、カメラにメガネをかけるようなもの。これを入れると、画像サイズが2倍に大きくなります。『Sh15uya』は、このエクステンダー(略してテンダー)を、映像効果として積極的に活用。撮影中にテンダーを入れることで、ワイプのようなオーバーラップ(ディゾルブ)のような、ふしぎな効果に……。Sh15uya
の現場には、「このカットはテンダーで」「テンダーでーす」とか、怪しい会話が飛び交います。(^^;
たちまちテンダーのとりこになったのは、8話から参加のベテランスクリプター・佐々木禮子さん。「このカットはテンダーにしたらどお?」と、積極的に監督に提案したり、「テンダーって面白いわよー!」と布教しまくったり───って、お相手は藤田まことさん?! ちょっとハマりすぎかも!

「EXT.」とあるのがエクステンダー
一方、気が気じゃないのは撮影部スタッフ。「テンダー!」と監督の声がかかると、緊張感が走ります。テスト(カメラリハーサル)の回数も、本番のNG率も激増してしまう、C難度のワザなのです。「テンダー」というと、やさしげな響きの言葉ですが、実態はむしろハード。「引きと寄り、2カットぶんの絵がいっぺんに撮れて楽ちん〜」、なんてことはないんです。エクステンダーの前後で、フォーカスや絞り値(画面の明るさ)が変化するので、カメラマンとVE(ビデオエンジニア)さんが、エクステンダー操作と同時に呼吸を合わせていくつもの調整をこなさないと、単にミスった映像になってしまうわけ。
監督は、リリアン・ギッシュ(女優)の魅力を伝えたかった。
カメラマンは、リリアン・ギッシュのそばにいたかった。
そして、クローズアップという技法が発見された。
なんて逸話が、映画には伝わっています。美しい話です。「クローズアップの発見」なんて、いまとなっては「ハァ?」って感じですけど、舞台中継みたいのばっかりだった映画草創期には、衝撃映像だったみたいです。けど、どれほど画期的なテクニックだったとしても、それが「発明」としてではなく、「発見」として生まれたのは、映像にとって幸せなことでした。そのときクローズアップは、単なる技術ではなく、人が人を愛する思いを、人と共有するための方法として生まれた。映画が、単なる中継録画映像としてではなく、「人の思いを伝えるメディア」としての道を歩みはじめた瞬間だったのだと思います。映像って、そういうものだと思います。人が、人を撮って、人に伝える。撮るのも人、撮られるのも人。そして、見るのも人。あくまで「人」。それが映像なんです。『Sh15uya』は純デジタル機材で制作されていますが、「高精細な映像」
よりも、むしろ「人の思いを感じさせる映像」をお送りしようとしています。「演出テクニック」を超えて、スタッフの思いさえ伝わる映像を!そのためには、どんな難度の高いことでもやろうとする若いスタッフたち。その思いを汲んでくれるベテランスタッフたち。そんな『Sh15uya』スタッフの思いは、映像として結実していきます。そのひとつが、こうしたテンダーカット。解説するのは、ヤボかもしれませんが、それもまた「思い」ってことでご容赦を。というわけで、Sh15uya
映像の秘密を追っていきます!
※ エクステンダーは「テレコンバーター」ともいいますが、前者はカメラレンズ内蔵、後者は外部オプションというちがいがある気もします。ちなみに Sh15uya のような使い方は、レンズに内蔵されてないとできません。
Posted:
Sun - March 6, 2005
at 08:15 [
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