縁の下
ダーク・キングダムの縁の下

ダーク・キングダム一同の、きらびやかでファンタジックな衣裳は、実写版『セーラームーン』の世界の半分を確実に形づくっています。
その衣裳造型を一手に手がける衣裳作家・竹田団吾さんこそ、まさに「ザ・ダーク・キングダムの縁の下」?!

竹田団吾(ダーク・キングダム衣裳造型)

たけだ・だんご。1961年生まれ。
劇団☆新感線の衣裳作家としても有名。クイン・ベリルや四天王たちの衣裳&装飾の、デザイン&造型を担当。

西新宿は、電磁波の出ぐあいがいいんです

ベリル様にかしづいて最終調整。第1話ロケにて。
この結果、第3話から衣裳がパワーアップ。
竹田竹田 もともとは、役者なんですよ。
1981年に大学に入ったんですが、80年が劇団(新感線)の立ち上げ。最初は小道具をやってて、91年くらいから衣裳を手がけるように。96年ごろまでは役者と兼任です。
映像の仕事をやって、「稽古に顔出せません」と一回休んだら、そのままズルズルと。
─── いつから映像の仕事を?
竹田竹田 最初は『人造人間ハカイダー』(1995、雨宮慶太監督)です。岸本祐二くんの衣裳。
つぎに雨宮監督の縁で、『ジャスキス』(1996、三ツ浦孝監督)の話をいただいて。穴井夕子さんや神威杏次くんの衣裳を。
気がつくと『モスラ3』で東宝さん、『タオの月』『さくや妖怪伝』で松竹さんと、さりげなくメジャー映画会社を制覇(笑)。松竹さんは配給だけか。
─── 大阪を拠点にされてて、東京の仕事は大変だったのでは? 『ハカイダー』では、2週間くらい泊まり込んでらっしゃいましたが。
竹田竹田 どこでも寝れる人なんで、あちこちに泊めてもらってました。
ここ2年くらいは、樋口さんの会社(Motor/lieZ)に泊めてもらったり。昔、レインボー造型さんに見学にいったときには、どうやら山本さん(営業部長)の家に泊めてもらってたらしい(笑)。
お世話になりました。
─── 今年、東京に拠点を移された。
竹田竹田 大阪のアトリエ兼稽古場がなくなることになったので、厄払いついでに、と。
─── いきなり西新宿というのは、すごくないですか?
竹田竹田 あちこち比較検討したんですよ。泊まり歩いてるうちに、関東に詳しくなった。新宿は、人と会うには東口がいいけれど、西口は電磁波の出ぐあいがいい(笑)。
で、引っ越しの最中に、今回の仕事の連絡もらったと。
─── その節は失礼しました(笑)。でも、ちょうどグッドタイミングでしたね。
ところで、基本的な質問なんですが、竹田さんは立場的には、劇団☆新感線の“座付き”舞台衣裳作家、ということになるのですか? 珍しいと思うのですが。
竹田竹田 座付きの衣裳、という人は他に聞きませんね。でも、俺も“座付き”ではないですよ。気がついたらそうではなくなっていたというか。
今後、どんどん変わっていくと思う。
─── 新感線もどんどんメジャーになっていって。
竹田竹田 メジャーになればなるほど、劇団としては難しくなる。いまも“劇団”を守っていられるのは、演出家のいのうえさんの体質だと思います。
役者をやっていたこともあって、公演の現場にはいづらいんですよね。公演が始まったころには、すぐ次の仕事にかからないといけないというのもありますが。

武内先生から太い幹をいただいて

─── 今年の仕事量はハンパじゃないですが。
竹田竹田 舞台3本、映像3本。
宝塚歌劇団花組公演「ルードヴィッヒII世」の衣裳プランもやりました。
電気代がー!(笑) 電気代が大阪時代の4倍。ノンストップで、不眠不休で働いているとそうなる。
─── 『劇場版555』と『セーラームーン』の間に、『キューティハニー』(2004、庵野秀明監督)も。
竹田竹田 『ハニー』も、面白いものになると思います。
打上げに佐藤さん(VFX スーパーバイザー、Motor/lieZ)来てなかったけど?
─── 『セーラー』1話の編集日でしたから……。スタッフかぶってるんですよね。
竹田竹田 珍しく、デザインありきの仕事でした。といっても、まんまつくるんじゃなくて、デザイン多少さわってますけど。つくりながら、「こうはならんじゃん、これ」みたいな(笑)。
第1話・ジェダイト。この後、バージョンアップを繰り返す。
─── 『セーラームーン』も、原作ありきですが?
竹田竹田 原作のイメージからは、大きくそれ………てますか?!(笑) 武内先生(原作)から太い幹をいただいて、それに枝葉を生えさせる、という作業をしているつもりです。
世界観的にも、こういう出し物は好きですし、長いスパンのテレビをやらせてもらうのは『セーラームーン』が初めてなんで、勉強させてもらってます。蟻川さん(レインボー造型企画)には、「これでどっぷりですね」と言われてしまったけど(笑)。
─── デザインして自分でつくって。タイヘンだと思いますが。
竹田竹田 絵を描いてる竹田団吾と、モノをつくってる竹田団吾は別人なんです。みんなそうだと思いますが。つくる段になって、「誰だ、こんな絵を描いたの!」……俺か(笑)。
デザインが自分でも他人でも、関係ないのでは、と最近思う。蟻川さんに、前からよく言われているのは、そういうことかなと。
─── デザインか、造型か、どっちかに絞れと?
竹田竹田 気持ち説教っぽく。どっちかに専念したほうが、カラダ的には楽でしょうけど。
絵をもらっても、そのままストレートにつくることはないですね。モノをつくるときには、今までに起きてないこと・“現象”を、何かしら起こそうと考えてしまう。一つの作品の中でも、同じ現象が起きないようにと。
─── 四天王でも。
竹田竹田 四天王でも。4人が4人とも、それぞれ違う現象を起こそうと。

馬子にも衣裳?

─── 四天王、それぞれのイメージを広げていただきました。
竹田竹田 原作をベースに、役者さんにお会いしたときの第一印象を、反映させていったところがありますね。
ジェダイトは「わんぱく」とか……。
─── ゾイサイトは「不健康」とか……。
竹田竹田 もっとマシな言い方はないものか(笑)。せめて「青ひげくん」とか(笑)。
─── 現場では「アーティスト」って言ってますけども。
竹田竹田 遠藤くん(ゾイサイト役)は、音楽系の人でしたっけ? だからなのかな、衣裳は似合ったし、本人も喜んでたようですね。ブーツが銀色じゃなきゃ、もっと喜んだかも。
ゾイサイト仮縫い。
色・丈・飾り物の質感、すべてを俳優さんに合わせて調整していく。
─── 銀ブーツはナシ?
竹田竹田 現実世界ではありえない。でも、実写のバランスとして白ブーツは、あまりにあまりでしょう。
銀ブーツは、レインボーさんに「意外と安いよ」って言われてそうしたけど、聞くと安くなかった(笑)。
─── 実際に撮影がスタートして、それぞれの印象は変わったりしましたか?
竹田竹田 ジェダイトの増尾くんが、すごい勢いで成長していくので、びっくりしました。最初のころは、失礼ながら「馬子にも衣裳」というか、ふつうの子が衣裳を着せられている、みたいなところがあったので……。
顔つきもどんどんよくなってきましたね。今後、ジェダイトが気になる女の子も出てくるんじゃないかなあ。
ネフライトの松本くんは、初日、すげーニヤケてた気がしますが、何かあったの?
─── 初日自体が嬉しかったみたいですよ。ドラマの仕事はほぼ初めてなので。
竹田竹田 彼もいいですね。気になる女の子がいると思う。
─── 杉本さんのベリル様は。
竹田竹田 基本的には、武内先生のデザインの輪郭がキチッとまずあり、装飾をほどこしています。それと解釈ですね。先生の絵を、自分なりに解釈して具体化するとこうなる、ということです。
杉本さんは素敵な方で、衣裳も着こなしていらっしゃる。おかげで、イメージどおりのクイン・ベリルに仕上がったかと。
ただ、ダーク・キングダムのロケ地が、湿気がすごいので……。羽根飾りが、あっという間に湿気を吸ってヘロってしまうのが悲しい。どうにかならんかなあ。
現場の衣裳さんが大変。本当によろしくお願いします。
─── これからも、妖魔系もお願いしたりと、いろいろお世話になります。
竹田竹田 デザイン的には「王道」なので、間違いないことをやってるつもりです。“子供番組”を意識せず、直球をばすーんと投げている。あとは、プロデューサーのチェックで何とかしてください(笑)。
時間の許すかぎり、おつきあいさせていただいて、『セーラームーン』の世界観を展開させていければと思います。

(2003.09.26 ゾイサイト衣裳合わせにて)

縁の下

PHOTO 菱沼宏泰・植松淳(スチール)/マイケル(車輌部)/白倉・丸山(プロデュース) ルナCG Motor/lieZ