シャンゼリオンという名の日々
揺籃編 第1話〜第9話


[激動編(第10話〜第16話)]  

この項は、東映の白倉伸一郎(以下し)と武部直美(以下た)の個人的な回想に基づいた対談です。事実誤認もありえますので、ご了承ください。
[エピソード リスト]


第1話
『ヒーロー!! 俺?』

脚本/井上敏樹
監督/長石多可男

人生は明るく・楽しく・お気楽に、がポリシーの私立探偵・涼村 暁。
小学生連続失踪事件を捜査するうち、怪物を目撃を目撃して泡を食った暁は、特務機関SAIDOCのトレーラーと接触──運命のいたずらから、新エネルギー・クリスタルパワーを全身に浴びた。
暁は超光戦士シャンゼリオンに燦然し、圧倒的なパワーで真犯人・闇生物ギンガーを倒す。だが闇次元界では、人間の生体エネルギー・ラームを受けて、ダークザイドの聖幹部たちが長い眠りから復活しつつあった…。
#1 復活の聖幹部
第2話
『ノーテンキラキラ』

脚本/井上敏樹
監督/長石多可男

すっかり気が大きくなった暁は、借金を重ねて贅沢三昧。
しかし一方で、ダークザイドの侵略は着々と進行。女性専門の靴屋から靴を買った女性たちが、つぎつぎと消えていく。エリ、朱美までもがその犠牲に…。
彼女たちを追う暁と速水は、それぞれ女装して靴屋に潜入。いがみ合いながらも闇次元に突入し、囚われの女性たちを救出する。
ちょっと暁を見直しかけた速水だったが、暁の性格はやっぱり彼の理解を越えているのだった。
#2 闇次元の暁
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クランクインとシトロエン
た:では、クランクイン(撮影開始)から。あれはバレンタインデーでした。いいお天気でした2月14日。暁、顔が黒くて怖かった(笑)。
し:日焼けサロンに通ってたんだっけ?
た:目と目が合うとピースしたりして、陽気なのは変わらなかったけど。
し:2話からインしてるんだよね。大まかにいうと、まず2話から入って、後から1話を撮影するというスケジュールだった。2話のほうが絵づらが古い。
た:レストランで札束叩きつけて、「貸し切りにしてくれる?」って言うのが、ファーストシーン(最初の撮影)だった。つづいて、お外でエリちゃんたちにからまれる(笑)。で、車が走らなくてみんなで押したと。
し:まともにエンジンかかったことがほとんどないという…。
た:あの車に決まった経緯は?
し:「バイクなんて旧態依然だ。探偵といえば車」とか言って四輪だと。井上さん(井上敏樹=脚本)は「ピンクのキャデラック」とか言って、長石監督が「それは下品だ」って反対して、「“シャンゼリオン”だしフランス車だ」ということでシトロエンに落ちついた。
た:でも、あのカエル色もなかなか強烈だったけど(笑)。で、あの車、撮影後はどうなったの?
し:どうなったんだろうね?
た:知らないの?(笑)
し:売るとか言ってたけど。もとはクラシックカーのコレクターから譲っていただいたものだし。
た:でもエンジンかかんないんでしょ(笑)。補修部品がないから直せないし、(自走できないから)トレーラーに積んで行ったりとか大変だったよね。

秘密の森の中で
た:1話のアクションって、“秘密の森”だっけ。新座。 #1 Changerion
し:正式名称らしいね(笑)。
た:川にはまって、スタッフがみんな泥だらけになった。水浸しでみんな滑った。
し:行ったら雪が積もってて。4月に雪景色はまずいから、朝一番で雪かきした。雪解け水でドロドロだったんだよね。
た:市山さん(市山 登=宗方 猛役)が恍惚として、「シャンゼリオン…」(笑)
し:あのカットを撮ってるあいだ、長石監督がずっと…。
た:あ、後ろで。
し:「どうだ、俺がつくったシャンゼリオンだ! 見たか、ざまあみろ! よしオッケー」とかって大騒ぎ(笑)。
た:シャンゼリオンがクルッと回って、みんなから拍手が起きたのはその後だっけ?
し:そうそう。「シャンゼリオンってこんな重いのか」って、みんなショック受けてたんだよ。ゴジラより重いし。ところが、あの決めポーズを見せられて…。「あの重いのを着て、よくぞこんな芸当を」というのと、もう1つは「暁っぽいじゃん」って(笑)。

シャンゼリオンは海へ
し:エンディングでさ、中田島(浜松)でシャンゼリオンが延々と立ちつくしてる空撮があるじゃん。ヘリは静岡かどっかから飛んできて。足跡消しながらスタッフが退避して。次郎さん(岡元次郎=シャンゼリオン役)がひとり残って。
で、本来は無線で連絡を取るはずだったんだって。いざ現場で無線を仕込もうとしたら、マスクは次郎さんにぴったりつくってあるわけだ。次郎さんの頭以外のものは何も入らなかった(笑)。
た:「すっごく寂しかった」って、何度も次郎さんが(笑)。たったひとりで、ぽつーんと立ちっぱなしで、近くに誰もいなくて。ヘリが来たところで、いいのか悪いのか、何が起こっているのか…。
し:ヘリが近くにいなくてもロングで(遠くから)撮ってるかもしれないから、ずっと直立不動。しかもアップ用で。着てるっていうだけで体力を消耗する。
た:ひとりでかぶれないんでしょ。「あっヘリが来た」って自分でかぶるわけにいかない。海に向かってるから、スタッフ見えないし。寂しかったみたいよ。「みんなどこにいるんだ〜、俺ひとりや〜」って(笑)。
し:すごいカットだけどね。ほとんど1カットのエンディング。
た:ああいうのは、監督と相談して決めてたの?
し:コンセプトは相談してるけど、でも長石監督のアイデア。オープニングのど頭で海から飛び出してくるCGとかも。
た:海はシャンゼリオンに似合うよね。
し:長石監督の本能的なものじゃない? 小中監督も9話(『速水、燦然!』)のクライマックスで、台本では海じゃないのを海辺にしたいって。海の光の反射の硬さが、シャンゼリオンを引き立たせるんだといって。監督という人種の感性ってあるよね。
た:シャンゼリオンはどこに置くと映えるのか”って、だいぶ試行錯誤したよね。緑の中はいまいちとか、晴れと曇りの空の下ではどっちがいいのかとか。だんだん、都会・ビル街は合うらしいぞと。
し:で、臨海副都心ばっかり行くようになる。人工物の中で、かつ海辺。キレイだし光の反射が硬い。森とか公園とか、地面のあるところだと、光が柔らかくなってしまう…。

ロン毛な速水
し:個人的な思い入れとして、速水の髪型というのがあって。よりによって、暁も速水も両方ロン毛(笑)。「せめて髪型は変えないと区別つかないし、ロン毛のエリートなんかありえない。相澤くん(相澤一成=速水克彦役)の髪切ろう」って話になったんだよ。
で、そうと決めた日の深夜に長石監督から電話がかかってきて、「やっぱり切るの止めない?」って。俺も内心引っかかってたから、すごく嬉しい電話だった。
た:“暁と違える”という機械的な理由で、安易にやっていいのかって?
し:「エリートというよりも、速水も現代に生きる若者だ、というところを大事にしよう」って。朝一番で「切るな」って電話した。「切れ」って言った次の日に(笑)。
た:で、チョンマゲに(笑)。
し:あれは、俺らが初めて彼に会った時、あの髪型だったの。
た:そういえば、2話で女装したとき、「区別つかない…」って話もあったね。 #2 女装の速水
し:衣裳合わせの時にさ、みんな「おおっ」って。「2人とも、まんま店に出られるぞ」(笑)。
た:似合ってたけど、本物はコワかった(笑)。あんな背の高い女装はいない(笑)。
なんで女装にしたの? 井上さんの趣味?
し:趣味っていうより狙いだよね。従来のヒーローものではないぞという宣言。
た:10話くらい回してならともかく、2話めだもんね。
し:女装のまま燦然する、ってのが狙い。山田さん(山田一善=アクション監督)が気を使って、「女装をバッと取るやつ、やろうか?」って言うから、「まんまで行きましょう」って(笑)。 #2 女装の燦然
た:顔はカッコいいのに、下はワンピース(笑)。初めての燦然ポーズなのに(笑)。

第1号はぎりぎりセーフ
た:いづみ先生、闇生物第1号。キャスティング、ギリギリまでもめたわね。
し:結果的にギリギリになったんだよ。初めに決めてた人が…
た:ドタキャン(=土壇場でのキャンセル)だったんだっけ?
し:いきなり引退しちゃったの。ヌード写真集の話が進んでて、親が怒っちゃって「足を洗わせる」って。
た:結果的には赤間さん(赤間麻里子=いづみ先生役)でよかったけど。
し:イギリスでも活躍する国際的ミュージカル女優。
た:「この役、牙が生えるんですけど…」って言ったら、「面白〜い」って。イヤがる女優さんもいたのに、さすが舞台俳優。会ったその場で、「よろしく。明日からです」「この場で決まりなんですか?」「そうです」って。
し:そんなギリギリだったっけ(笑)。

朝シャン
た:『シャンゼリオン』って、1話の頃から“キツい現場”っていうのが定着してて…。
し:変な言葉が流行ったよね。“朝シャン”とか。“朝まで撮ってるシャンゼリオン”。
た:夜遅かった。休みなし。
し:2月から、ゴールデンウィークまで休みなかった。次はお盆(笑)。
た:別の番組で、土日の休みがスケジュールの関係で平日に振り替えになって、スタッフが騒いでるのを、中久保さん(中久保修=助監督)が横目に見てて、「けっ」って。「休みがあるくせに文句言ってるうちは、まだまだコドモ」(笑)。
し:『闇法廷』(第23話)で、決定稿(=完成台本)の後に改訂を出したじゃない。あのとき、求刑シーンがカットになったというデマが飛んで、あわてて打ち消して回ったんだけど、中久保氏が「シャンゼリオンだからキュウケイがないのかと」(笑)。

た:クランクイン前に、暁のカメラテストを撮ったじゃない。「こんな色の黒い、怖い人で1年間? 白倉さんの趣味って…」とか思ったけど(笑)。でも病室で飛び起きるとこ、「このお兄ちゃん、カッコいいかも」と思った。無理しておちゃらけるより、マジメなほうが初めはやりやすいよね。
し:暁って役は難しいからなあ。
た:めいっぱいつくるしね。なんでああいうキャラクターに? 『探偵物語』を基にするとかって言ってたの?
し:『探偵物語』みたいなテイストはいいねとは言ってた。インの半年前くらいに、1・2話の台本ができあがって…。
た:あ、それ知ってる。変な名前がついてなかった? 「準備稿」じゃなくて…
し:「企画検討稿」。
た:そうそうそう(笑)。
し:準備稿ってのはスタッフが準備するためのもので、企画が決定してないうちに台本印刷するわけだから、誰がオーソライズしたんだとかもめるとイヤだから、「みなさん、これ読んでご検討ください」という意味でそういう言葉を発明した。
た:その辺の経緯って、ぜんぜん公開できない話じゃないの?(笑)
し:結局、ほとんど変わってないけど。
1話の探偵事務所、“暁と朱美の軽妙な会話”というシーン…。
た:本物(撮影現場)はよかったけどねえ…。
し:「いけるじゃん」って思ったけどねえ…。
た:アフレコがねえ…。
1・2話のオールラッシュを見て、みんな恥ずかしがって、「死のうと思った」とか。言ってないか(笑)。白倉さんも蒼ざめた?
し:いや、最初でこれなら上出来だと。でもあれを見て暁や速水が発奮して、3・4話で見違えるようになったものね。
た:暁が、「せめてアフレコだけでもやり直したい」って。
し:一部リテークしたけど、それやってたらキリがないもんね。
アフレコ問題を解決できなかったのは心残りだな。このシリーズがアフレコ向きじゃないのは初めから分かってたんだが…。ビデオ撮影にするのに手いっぱいで、手が回らなかった。






小中肇登場
た:小中監督に決めたわけは? 戦隊時代いっしょにやってた?
※ 小中監督は助監督時代に戦隊シリーズに携わっている。
し:戦隊ではダブってない。スタッフの結婚式で初めてお会いしたんだけど、しっかりした考えを持った監督だなという印象が強くて…。
た:小中組は『シャンゼリオン』の1つの色をつくったよね。
し:3話のプレビュー(完成試写)が終わったとたん、岩田さん(岩田圭介=テレビ東京プロデューサー)がバッと振り返って、「傑作ですね!」って言ってくれた時は嬉しかった。
た:自画自賛(笑)。
し:監督もTVシリーズを手がけるのは初めてとか、いろいろジレンマあったようだから、監督のためにもさ。
た:「これってコメディなんだっけ?」って言ってたのは木村さん(木村京太郎=読売広告社プロデューサー)か。「企画書にはコメディのコの字もなかったけど、実はそうだったんだね」って(笑)。

今日は戦争よ!
し:教会と花嫁館(ジャトゥーのアジト)の撮影が同じ日だったんだよね。諸般の事情で。で、一日にのべ十何人という花嫁が…。 #3 花嫁館
た:メイクさんと衣裳さんが、「今日は戦争よ」って(笑)。
花嫁たちのキャスティングも、ねばったというか、ちょっと凝ろうとして…。
し:目論見がはずれてしまったんだよね。3人組のグループを2組出すとか、趣向を凝らそうとしたんだけど、スケジュールが合わなかった。

ガウザー登場…せず
た:脚本の打合せって、ブレストみたいのやってたの?
し:6話(『ごめんね、ジロウ』)まではプロット(ストーリーの骨子)会議ってやってたじゃん。井上さんにプロットを出してもらって、侃々諤々。
た:まるっきり(ストーリーが)ひっくり返ったのってあった?
し:まず、この第3話(笑)。3・4話って、当初は前後編で、ガウザーが出てくる話だったんだよ(笑)。暁と速水がつかまって、残されたエリと朱美が、いがみあいながらも協力して頑張る。
た:どっかで聞いたようなお話(笑)。
し:やっぱり本線の暁・速水を掘り下げるのが先決だということになったんだよ。レインボーさん(レインボー造型企画=造型)には悪いことしたけど。3話に間に合うようにって、不眠不休で(ガウザーを)つくってもらってたから。
た:脚本づくりって、脚本家にプロットをいくつか出してもらって、その中から選ぶのと、話しながら方向性を絞りこんでいくのと、2種類のやり方があるじゃない。井上さんとはどうだったの?
し:話しながら、だな。「花嫁がゾロゾロ出てくるのって面白くない?」とかって。
た:そういえば、話してるその場にいたわ(笑)。初めは「10人の花嫁が…」って言ってたのをやめて6人にしたんだよね。
し:(予算的に)10人は持ちこたえられません」って(笑)。

第4話あなどりがたし
#4 疾走する二人
た:4話って、あんなにノンストップアクションムービーに仕上がるとは思わなかった。追っかけのスピード感が全編をつらぬいてる。
し:スラップスティックっていうんだけど、日本でなかなか成功したためしがないジャンルなんだよね。井上&小中というコンビなら、それができそうだと分かって、10話(『サバじゃねぇ!』)につながっていく。そういう意味でも、3話4話はシリーズの方向性を決定づけたよね。
た:視察官の岩尾さん(岩尾拓志)も、天敵がいる、という感じでよかったよね。また出てもらいたかったけど、宗方話がとだえちゃって…。
し:市山さん(市山 登=宗方 猛役)が『屋根の上のバイオリン弾き』に出演されるんで、しばらくいなくなっちゃったからね。
た:帰ってきたころには、あと何本かで終わり。視察官出すよりブレイダー出すので忙しい(笑)。それで、岩尾さんに教授役で36話(『新たなる敵! か?』)に出てもらったんだよね。

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第3話
『花嫁ゾロゾロ』

脚本/井上敏樹
監督/小中 肇

花嫁連続失踪事件。ダークザイドのしわざと見た暁は、朱美やエリと擬装結婚式を挙げるが作戦失敗。
こうなったら、と速水をも巻きこんで空前のナンパ合戦を展開した暁は、6人の花嫁と一気に式をあげる。これだけいれば文句はあるまい。暁の読みどおり、闇生物ジャトゥーがおびき出されるのだった。
#3 教会
第4話
『ああ友情 ああ無情』

脚本/井上敏樹
監督/小中 肇

逮捕される速水。せせら笑う暁だったが、同じ状況にはまって逮捕される暁。
手錠のまま脱走した2人は、疑惑のトイレットペーパーを追って真犯人・闇生物ミライザの正体を暴く。しかしミライザの反撃に苦戦するシャンゼリオン。その時、覚醒した3体の超光騎士が出動した。
#4 暁とクウレツキ





第5話
『犯人は誰だ!』

脚本/井上敏樹
監督/蓑輪雅夫

少年・隆史の母が消えた。容疑者はラーメン屋・人妻・学生の3人…。
依頼を受けた暁は、速水・エリと手分けして容疑者を尾行。ところが3人が3人とも情に溺れ、自分の受け持ちの容疑者はシロだと言い張る騒ぎに。
果たして犯人は?
#5 シャイニングブレード
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蓑輪雅夫・松村文雄登場
し:『ホテル』が終わって蓑輪監督と松村さん(松村文雄=撮影)が参画する。松村さんって、『仮面ライダーBLACK』とかの頃から個人的にファンなんだけど、やっぱりアクションを撮らせると凄いものがあるね。リクシンキのスピード感とか燃える。
ビデオで(撮影を)やりたいって提案した時、「ビデオでアクションができるか」って反発があったのね。そこを、松村さんが「フィルムのスタッフがたまたまアクションに馴れてるだけで、技術的には変わらないよ」ってねじ伏せてくれた。
た:蓑輪監督とは、新座(第1話・ギンガーとのアクション撮影現場)で初めて会ったんだっけ。
し:お住まいが近かったんで来てもらったの。蓑輪車で近くのファミレスに移動して交渉。
た:あ、私何も食べさせてもらえなかった。入っていったら「行くぞ」って立ち上がっちゃって。
し:それは遅刻してきたからだろ(笑)。
店のテレビで『エヴァンゲリオン』のゲームのCMをやってて、蓑輪監督が「セガがスポンサーってことは、やっぱりゲーム狙いなの?」って。
た:結局出なかったね。
し:狙いは違かったから。

ハンター・暁
た:この頃は、“人知れず密かに潜んでいる闇生物の正体に、暁がハッと気づく”というのがパターンだったよね。
し:闇生物を狩り出すハンターとしての性格が強かった。黒岩とか片桐が出てきて、おもむきが変わっていくけど。
た:11話以降は、暁と闇生物の接点とか、あまりこだわらなくなっていったよね。そこにいたやつがたまたま犯人とか、闇生物のほうから依頼に来たりとか。やっぱり暁たちを描くのに忙しくなったからかしら?
し:暁・速水が面白くなってきたんで、「この2人でこういうエピソードをやりたい、ではいちばん適した事件は何だろう?」という発想に変わっていったんだよね。でも、事件も面白いのは、そこは井上さんのプロ根性。
た:5話って、初めは8話のエリちゃん話(『娘よ、男は選べ!!』)が5話の予定で、それを8話に遅らせて、改めて書いてもらったんだっけ。でも、この5話がここにあってよかったと思うだよ。
し:よね。
た:この頃は、のんびりしてたのね。シリーズの初めの頃は、それだけストックがなければいけないんだけど。
し:井上さんとの初めの約束っていうのは、「6話までは絶対に書いてくれ」だったのよ。
た:「あの井上さんによくぞ書かせた」って感心された。
し:彼のこれまでの最長記録は、6話連続だから。この一件で「最低8話」というムードになって、後はなしくずしに(笑)。

キョウショコウフショウ
し:奥多摩の吊り橋で宙吊り。アクションと言えばアクションなんだけど、その後のドタバタが本当の狙いだったという(笑)。
た:ドタバタに命がけで挑む『シャンゼリオン』(笑)。
し:あのシチュエーションでは本当は、速水が高所恐怖症である・ないは関係ないんだよね。その辺は、きちんと受け止めておかないといけない。もし速水が高所恐怖症じゃなかったらどうなるか。「手を放せ、暁! お前だけは助かる」「あ、そう」とかいって、そこで話が終わっちゃう(笑)。
た:だから、速水は高所恐怖症でないといけない…。
し:それを“キョウショコウフショウ”とかいって、ギャグでまぎらわしてるんだけど、くだらないギャグに見えるけど、裏に抜かりなく計算があるのが、井上脚本の怖いとこだよね。






2人のジロウ
#6 暁
た:6話はええ話やねえ。『シャンゼリオン』の担当となったからには、試写で泣きたいという野望があったんだけど、早くも6話で(笑)。脚本で泣いて、オールラッシュ(映像を監督の指示どおり編集したもの)で泣いて、初号(=プレビュー)で泣いて(笑)。これほど泣いたのは、あと最終話。
し:最終話も泣けたねえ。ロール2頭(中CM明け)の暁・速水の会話。脚本で泣いて、撮影で泣いて……。
た:自画自賛の白倉語る(笑)。
し:「ジロウ」って名づけたのは井上さんのヒットだね。
た:プロットでは、“ザンダーがジロウを制裁する”というストーリーだったじゃない。でも白倉さんはずっと反対してたわね。“シャンゼリオンが殺すべきだ”って。あれは井上さんを延々と説得したの?
し:電話したら、切り出す前に「考えたけど、言うとおりかも」って。
た:ザンダーが殺すのは、それはそれで「子供っぽくなくていいじゃない」と思ったけど…。
し:ポリシーとかあって、それじゃいけないと思ったんだ。
そういえば、監督が太田有美ちゃん(=ジロウ役)を「ジロウ〜」って呼ぶと、次郎さん(岡元次郎=シャンゼリオン役)が「ハイッ」って。
た:その後も、暁が「ジロウみたいな話はいいですね」とか言うと、次郎さんがムッとして、「呼び捨てにするとは」(笑)。
まあでも、6話はあんまり語れないよね。
し:思い入れ大きすぎて。
た:語るに落ちるし。

消えたダメージ
し:あ、シャンゼリオンがダチュラーにダメージを受ける、ってシーンがあるじゃない。その傷を見て、ジロウが“暁=シャンゼリオン”だと知るという。あれで山田さんが悩んでさ、「どんなダメージ表現がシャンゼリオンにふさわしいのか」って。“ガラスのように割れる”のはどうかって。で、“割れ用肩パーツ”を作ったのね。
た:上がり(完成作品)では、ぜんぜん分からなかった。
し:なにしろ透明だから(笑)。撮影はすごくうまくいったんだけど、写らなかった(笑)。
た:“砕けるシャンゼリオン”って…。
し:それから山田さんがずっとこだわってて、39話(最終話)でようやく実現したんだよね。

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第6話
『ごめんね、ジロウ』

脚本/井上敏樹
監督/蓑輪雅夫

ジロウと名のるその少女は、曇りのない空のように透き通った心を持っていた。そんなジロウと惹かれあう暁。
しかし、ジロウの正体は闇生物ダチュラーだった。彼女の罠から速水を救い出すシャンゼリオン──その対決の果てに、2人は互いの正体を知る。
2人はもう一度逢わなければならなかった。暁とジロウとしてではなく、シャンゼリオンとダチュラーとして…。
#6 ジロウ





第7話
『アイドル!! 私?』

脚本/井上敏樹
監督/長石多可男

アイドル・レナが失踪。すわ、アイドル好きのダークザイドのしわざか?
芸能界に潜入した朱美が、アイドルへの階段を昇っていく。その周囲に出没する怪しい人影…。だがそれは、駆け落ちしていたレナが嫉妬しての、ただの嫌がらせだった。
ひと安心の一同。だが、一度アイドルの魅力を知ってしまった朱美は、探偵事務所に戻らなかった。そんな朱美を、しかし、暁は守ろうとする。
そして最後に朱美が選ぶのは?
#7 水着の朱美
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ザ・マニア
し:7話の(脚本の)原稿が上がって、スタッフルームで読みながら、最初から最後まで笑いが止まらなかった(笑)。沼尾さん(沼尾和典=制作担当)が「これ、どっか直すの?」って、いじったら承知しないぞという含みのある脅しかけてきて。
た:井上さんの脚本は、総じて完成度高かったよね。
し:でも7話は、井上さん本人は「優等生的な脚本だけど…」って、あまり気に入ってないそぶりだったね。たしか初めのうち話してるんだよ、「回想シーンは禁じ手です」って。視聴者の知らない過去話を出してくるのはやめようと。
た:回想シーンで視聴者の興味を引くってのは?
し:回想でキャラクターの掘り下げをした気がするのは幻想だって。よくやる手なんだよ、“いい話”が楽につくれるから。
た:都庁前の暁と朱美のシーンは、ちょっと抵触しているわけね。
し:いいシーンだけどね。
た:7話で画期的なのは、「アイドル好きのダークザイドか」ってやつ(笑)。
し:あ、あれは便利だった。実生活に応用できた(笑)。「俺はビール好きのダークザイドなんで、ビールもらいます」とか。
た:(闇生物の名前が)“マニヤー”だったよね。身もフタもない(笑)。
し:一匹狼の怪人ってのが好きでさ。ポリシーとかあって。でも、幹部とか出さないといけないということになると、“怪人が幹部の言うことを聞かない”って設定が必要になるんだよね。『ダイレンジャー』でも似たようなことやってたんだけど、闇生物は“趣味が強い”っていう設定にしようって。
た:趣味が強いっていうより、ただのオタクよ(笑)。
し:初めは“フェチ”って言ってたんだけど。靴フェチとか(笑)。
た:結局“マニヤー”だから(笑)。

黄金のアイドル編
し:5話あたりまでは朱美ちゃんのスケジュールがなくてさ〜。高校生だから、期末テストが…。
た:ずっと事務所にいて、暁が携帯で話したりするのも、そういうことだったよね。
し:おかげで3話(『花嫁ゾロゾロ』)の「今日は戦争よ!」状態とか、いろいろ…。で、春休みを狙ってこれを用意した。
た:アイドル編。
し:黄金のパターン。
た:女の子といえばアイドル話と。
し:ディテールに妙にこだわったよね。テレビ局のスタジオ(=テレビ東京)も、レコーディングスタジオ(=青葉台スタジオ)も、ぜんぶ本物。朱美ちゃんにどうのこうの言う長谷川さん(長谷川展洋=日本コロムビア・音楽ディレクター)とか(笑)。
た:“橘朱美”ってポスター見て、「演歌歌手みたい」って。濃すぎるよって(笑)。
朱美ちゃんが劇中歌を歌うというのと、挿入歌というのと、話は同時くらいに進んでたの?
し:挿入歌の話をしていたとき、7話をアイドル編にしようということになって、じゃあドッキングさせちゃおうと。だから『Brand-New』は予定にあったんだけど、いざ脚本が上がってみたら、もう1曲あって…。
た:『歌う女相撲取り』(笑)
し:ちょうど劇伴(BGM)の録音中だったので、長谷川さんが安川さん(安川午朗=音楽)に頼んでくれたの。
た:レコーディングは大変だったよね。
し:年頃の女の子だから前フリしとこうと思って、朱美ちゃんに「お相撲さんの格好してもらうよ」って。「え〜っ」「歌も歌ってもらうよ」「え〜っ」。でも、実際に歌ったら「カッコいい」って乗り気だった。
た:「安室みたい」とか言ってた。
し:安川さんも「小室調」とか言ってたし。
た:そういえば、その前に声の幅を録ってホリエさん(ホリエ アキラ=主題歌・挿入歌作曲)に聞いてもらおうというのがあったじゃない。朱美ちゃんは安室ちゃんのを歌ったんだよね。で、暁が『サザエさん』を歌って(笑)。
暁が歌ったのはついでだったの? それともそれを聞いて“暁の歌”がナシになったんでしょうか?
し:朱美が歌うのに、暁がないのはバランス悪いかと思って録ってみたんだけど、やっぱり男の声だしね…。
た:別に暁じゃなくてもいいと?
し:いわゆる“特撮ソング”じゃなくて楽曲としての完成度を追求しようというのがあったから、あまり企画ものっぽいのをホリエさんに無理強いするのもなあと。
た:暁の責任じゃないと。
し:こっちの責任ですね。
『歌う女相撲取り』は井上敏樹作詞なんだけど、♪上手投げ 以降の歌詞がなくて、「どうします?」って聞いたら、「48手やって、48番までやるんだよ。決まってるじゃん」って(笑)。
た:そりゃいいや(笑)。
し:で、48手って何だということになったんだけど、これがよく分かんない。時間ないし、インターネットで相撲サイトを検索したら、アメリカのしか見つからなくて…。
た:なんかスタジオでごそごそやってたよね。
し:何の因果で、“SHUMOKUZORI”とかローマ字でプリントアウトしなくちゃいけないのか(笑)。
た:『シャンゼリオン』ってなぜか相撲にこだわってたよね。「これから相撲でも見に行かない?」とか、『朱美リターンズ!』(26話)のラストとか。
し:視聴率的には、相撲は敵だったんだけどね…。

朱美ちゃん総ざらえ
#7 クウレツキと朱美
た:朱美ちゃんといえば、「演技をどんどん吸い取って上手くなる」って、スタッフの間で評判だった。エリちゃんと違って、最初からできてたわけじゃないけど、7話あたりまでいくと、ある意味で完成してるもんね。
し:ヘア・メイクや衣裳に関しても、奥村さん(奥村弘子=メイク)たちが1話以来いろいろ試してくれてたけど、この7話で総ざらえして、ほぼ方向性が見えたよね。
た:1・2話のはちょっとケバかった(笑)。
し:18歳っていう設定に引きずられてたよね。赤い光りものとか…。でも(同じ衣裳が)最終話では似合ってたのはどういうわけだ(笑)。
た:本人、高校生だもんね。
し:結局、実年齢相応のがいちばん似合うという結論になった。
た:ところで、あの衣裳タイアップってどうやって取り付けたの?
し:俺が取り付けたわけじゃないけど。毎回衣裳違うのを基本にしようと思うと、タイアップは必須だと。金がないから(笑)、というのは冗談で、ふつうやることだし。やはり相互メリットって凄いあると思うよ。






花よ、踊れ!
し:例のジタバタ動く花はさ、佐藤さん(佐藤信夫=装飾)がフラワーロックを改造してやろうとして、テスト(リハーサル)ではすごくうまくいくんだけど、本番になるとピタリと動かない(笑)。
た:セットにラジカセ持ち込んで、ガンガン鳴らしてたよね。
し:「クラシックはどうもダメだ。やはりロックだ」とか言って(笑)。
た:そんなスタッフを冷ややかに見下ろす『ベティ・ブルー』のポスター(笑)。

ディスコミュニケーション
た:レストランのシーンは、はずしたかなと思ってたけど、最終話のエンディング見たら面白かった。「こんなことやってたね、あんたたち」って感じで(笑)。
し:コミュニケーションのすれ違いで、誤解が誤解を呼んで訳分からなくなる。この手のシチュエーションを書かせたら、井上さんの右に出る人はなかなかいない。
た:白々しくなるわけね。微妙なサジ加減。
し:極めつけは10話(『サバじゃねぇ!』)だけど…。
た:ほんとは、ラストシーンに暁たちもいたんだよね。エリちゃんだけじゃなくて。
し:ホームにいっしょに見送りに来て、「金貸してくれよ、兄さん」とかいって、しつこくバカやってる。それを見て、お父さんが「男は選べよ。ああいう連中だけはやめておけ」と言い残す。
た:暁たちがバカに見えすぎるという意見があって、カットしたんだっけ。
し:意味が違ってくるんだよね。エリちゃんが「男は選べ、か…」となるのも、もっと意味深だった。そこでサブタイトルも効いてくるわけだし、カットしたのは失敗だった気がする。

“長石2”
た:亀石さん(亀石征一郎=南 俊介役)は、エリちゃんによく似てると評判だった。暁や速水も飲みに連れていってもらったり、いろいろ可愛がってもらって、ありがたいだよ。 #8 エリと俊介
し:名のある役者さんで、ちゃんとからむ(共演する)のは、ほとんど初めてだったものね。勉強になったと思う。
た:この頃、ようやくキャストと井上さんの顔合わせをやったのよね。レギュラー5人と長石・山田両監督と、次郎さんもいた。
し:次郎さんが飲みすぎて、翌日遅刻したような記憶が(笑)。
た:2次会で相澤くんが、「武部さんみたいな人が奥さんだったら、ぼくは心配です」とかって。「うるさいっ!」って(笑)。夜遅くまで仕事してるということなんだろうけど…。
し:そのとき俺、長石監督とバトルしてなかった?
た:長石監督とはいろんなところでバトルしてたから(笑)。お酒が入ると“長石2”に変身するし(笑)。
し:“長石2”って、元ネタ“ボチャッカ2”か(笑)。
た:だいぶ後に出てきた言葉。命名諸田監督。
し:おかげでいろいろ本音を戦わせることができて、よかったと思ってる。

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第8話
『娘よ、男は選べ!!』

脚本/井上敏樹
監督/長石多可男

連続失踪事件の犯人を追って、エリの父・俊介が上京。
俊介は再会したエリを子供扱いしてやまない。お見合いを薦められたエリは、速水を恋人に仕立ててはぐらかそうとするが、暁や宗方のお節介で大混乱。
俊介を襲う犯人・闇生物ランゴリア。異形の怪物を向うに回して戦うエリの、その成長した姿を見届けた俊介は、娘がもはや自分の庇護を必要としていないことを悟る。
#8 エリ





第9話
『速水、燦然!』

脚本/井上敏樹
監督/小中 肇

闇生物バシーザの襲撃で、暁と速水のラームが入れ代わる。その結果、シャンゼリオンになるはずだった男・速水が、ついに憧れのシャンゼリオンに燦然できるようになった!
有頂天の速水だったが、彼の性格ではお人好しすぎ、どうしても敵を倒せない。自らの限界を悟った速水は、「俺のシャンゼリオン」に訣別を告げる。
そんな速水の葛藤を一番分かっていたのは、もしかしたら暁なのかも知れなかった。
#9 シャンゼリオン
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模索する人たち
し:9話はさ、シャンゼリオンになれなかった男・速水という設定を、もう一度おさらいしようと狙ったんだが…。
た:あー、「失敗した」とか言ってたね。「性格まで入れ換えることはなかった。速水がシャンゼリオンになれた話に絞ればよかった」って。
し:性格が入れ代わるところがコメディになるんだけど、分かりにくいことは分かりにくい。
た:男どうしだし。髪を縛るとかほどくとかやっても分からんとかって、脚本段階でもめたっけ。あと、「早い」って話が出たよね。「もう少し後でやれれば」ってのが暁たち的にはあったんでしょ。
し:自分たちの役づくりがまだ固まってないところに、いきなり相手を演じろというのは酷だよね。でも、無理にでもこの話はここでやっとかないと。後でやってもつまんない。
た:普通は後半にやるような話だけど、後半にやったら普通になっちゃう。何でも早め早めの『シャンゼリオン』。
あえてそういうエピソードを持ってきたのは?
し:いや本当は、9話までは“キャラクター回し”なんだよね。キャラクター間の人間関係をシリーズの柱にしたかったから、まずはレギュラーを定着させようと。
た:あー、「本当はやりたくないけど」って言ってたね。じつは順番にやっていただけなわけね。9話でそれがひとめぐりするわけか…。
し:そうそう。10話以降は、また次のステップだと。
た:初めのほうのエピソードは、やるべきことが決まってたわけね。
し:決まってたのは、11・12話までかな。で、13・14話という突発事態(朱美の降板劇)があって、すっかりペースを崩された。で、15話(『超まぼろしのアレ』)からしばらく方向を見失うんだよね。
た:模索の時期?
し:うん。
た:15・16話って、箸袋と霧子か。いいじゃん(笑)。
し:「これで行こう!」って自信持って仕掛けてたわけじゃないから…。
た:たまたま結果オーライという感じ?
し:そこまで見失ってはいないにしても、狙いが定まってなかったというか。
た:そうやって聞くと、初めのほうってカチッカチッとしてるよね。最後もやることはいっぱいあったけど…。
し:間に合わねえ! って感じだったね。
た:黒岩はどうするんだとか…。そんな中で、よく36話(『新たなる敵! か?』)みたいのができたね。ラストに向けてカウントダウンに入っているのに(笑)。
し:大事な最後の月に(笑)。
た:あれは凄いと思っただよ。『闇法廷』(23話)とかも。
し:『闇法廷』の前哨戦が9話なんだけど、要は“ごっこ遊び”なんだよね。少女マンガでよくあるじゃない。『ここはグリーン・ウッド』とか、同じキャラクターで設定変えて。キャラクターがしっかりしてないと面白くないんだけど、それができるなと。
た:初めて見た人が面白いかどうかは疑問だけど、『闇法廷』でも視聴率下がらなかったんだよね。裁判ばっかりやってる話で(笑)。
し:CMはさんでまだやってる(笑)。
た:やはり視聴者層が違ったということかなあ。

ピーマン、好きか?
た:で、いつも語られるのがラストシーン。
し:名作だよね。
た:しゃあしゃあと(笑)。
し:脚本に“カメラ引いていくと…”とか書いてあって、小中監督がすごく嫌がった。
た:脚本で演出を指定されるのって、監督は嫌うだろうね。
し:監督が「もっといい演出を考える」って、考えて考えて、「やっぱり脚本どおりにやったほうが効く……すごく悔しい」って。それを銀座のホコ天でやっちゃうのが監督の意地。
た:諸田監督が目標にしてたよね。「あのラストシーンを超えたい」って。
し:「9話の壁は厚い…」とか言って(笑)。

SAIDOC とは?
た:「家屋敷を抵当に入れて完成させたクリスタルステーションだ」(笑) 何を誇らしげに(笑)。SAIDOC って、もはや組織というより宗方商店(笑)。
そこで組織論になるんだよね。
クリスタルステーション
し:1話から延々(議論を)やってるんだよね。「SAIDOC ってどのくらいの規模の組織なのか」「いったい何人くらい構成員がいるのか」とか。
俺のイメージだと、超力戦隊くらいのスケールはあって、サンダーウィングみたいなメカも持ってて、頑張るんだけどヘラヘラ暁にしてやられる(笑)。それでまた悔しがるみたいなパターンがやりたかったの。その図式の中で、組織人の速水と、個人としての暁という対比が出せればと…。
た:(上層部に)どうして反対されたんだっけ?
し:「リアリティがない」と。「第一、予算ないだろ」ってトドメ刺されてグウの音も(笑)。
今思うと、どのみち構想倒れになったなとは思う。「モロボシダンがウルトラ警備隊に入らなかったら」とか言ってたんだけど、ウルトラみたいに怪獣が出現するんなら成立するけど、潜んでるのを狩り出すという設定だと、あんましうまくないなと。




(1997年6月)

[激動編(第10話〜第16話)]  

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