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【検証】事件──その点と線

[ストーリーダイジェスト] [検証・事件──その点と線] [各話あらすじ]

オーパーツから生まれた少年

オーパーツの解読を進めた研究者たちは、それが遺伝子モデル(2重らせんのような構造をした塩基配列)をあらわしていることを突き止める。その意味するところを確かめる実験を進めていたさなか、突如、赤ん坊が誕生してしまう。

赤ん坊は、ひそかに黒衣の少年に成長する。おりしも、ギルスに変身した後遺症に苦しむ涼に出会った少年は、奇跡的な力を発揮して、そのダメージを癒す。
少年はさらに成長をつづけ、青年の姿に変貌を遂げる。青年の姿を見た涼は、自分でも説明のつかない衝動にかられてギルスに変身し、攻撃を加えるのだった。

青年が、世の中に初めて姿を現わしたのは、あかつき号の生存者のひとり・三浦智子を殺害した容疑者としてだった。措置入院となった彼は、以来、病院暮らしをおとなしく受け入れている。

入院以来、人と口をきくことのない彼だが、唯一の例外として、「沢木哲也」という人物だけが、面会に訪れては彼と会話を交わしている。
それは、沢木哲也が「最初のアギトを殺した」ことによって、彼の「使徒」としての資格を得たからである。やがて、沢木哲也の懇願に答え、青年は「権威の一部」を彼に与える。
沢木哲也がその力を望んだのは、自分に仇なそうとしているためと知りながら、人間をこよなく愛し、沢木哲也を愛する彼は、そうせざるをえないのである。

あかつき号事件

──昨年9月、瀬戸内海を航行中のフェリーボート“あかつき号”は、突発的な暴風雨に巻き込まれて遭難した。

当時、香川県警の巡査だった氷川誠の英雄的な活躍により、乗員乗客は一人を除いて救出された。その働きを買われ、彼はG3システムの装着員として、警視庁にスカウトされることになった。

あかつき号の救難信号を海上保安庁が無視したのは、当日の瀬戸内海は晴れ渡っており、イタズラと思いこんだせいである。だが、海保の幼なじみを訪ねてきた警視庁幹部を出迎えるために、巡視船が出払っていたという不幸な偶然も重なっていた。両庁の不祥事にも発展しかねないため、事件の全容は一般に詳らかにされていない。

しかし、口が固いのは“あかつき号”の生存者たちも同じこと。
生存者たちは、事件後もひそかに連絡を取り合いながら、人目を避けてひっそりと暮らしている。その中には、涼の父親も含まれていた。事件後、人が変わったようになって放浪していた父の遺品に、不審な人々のリストがあったことから、涼は「あかつき号事件」の謎に首を突っ込んでいくことになる。
リストの人々を訪ね歩く涼だったが、多くの人は事件後に転居を重ねたりしており、その足どりはなかなかつかめない。また、ようやく居場所を突き止めて訪ねても、「あかつき号で何があったのか」を話そうとする人物はいない。

あかつき号の生存者のひとり・三浦智子は、翔一に町で出会い、翔一を恐れながらも、翔一に接触を計ろうとした。
同じく生存者であり、三浦智子の親友だった篠原佐恵子は、現実から目を背けて幻想の中で生きる日々を送っていたが、その幻想の主軸をなしていたのは、「湖底に眠る聖なる戦部(いくさべ)」と、アギトの紋章であった。
しかし、三浦智子は謎の青年に殺され、篠原佐恵子はアンノウンの犠牲となる。

そんな中、あかつき号グループから差し向けられた榊亜紀が、大胆に翔一への接近をはかる。亜紀の狙いは、“アギト”の力をなんらかの目的のために利用しようというものだ。
だが、亜紀は涼と出会って心をひるがえす。涼の内面に強く惹かれ、共に生きていこうと思う……。
しかし、涼と亜紀が手を取り合った刹那、「アギト捕獲作戦」のあおりでギルスが特殊ガス弾に倒れ、亜紀は作戦メンバーに復讐を誓う。超能力(サイコキネシス)を開花させた亜紀は、その力で捕獲作戦メンバーをつぎつぎと殺害するうち、やはりアンノウンの犠牲となる。

一方、残されたあかつき号の人々は、涼と接触した篠原佐恵子・榊亜紀が続けざまに犠牲になったことに不審の念を抱く。サイコキネシスを発現させた相良克彦が、木野薫の指示で涼を襲撃し、涼はあえなく生命を落としてしまう。


船上で“アレ”を見たあかつき号の人々は、超能力に目覚めつつあるためか、アンノウンの襲撃対象となっている。
木野薫という人物によって、彼らの行動は律されている。たとえば、榊亜紀が翔一に接触したのも木野の指令と思われるが、彼らはどうして翔一=アギトと知っていたのか。また、翔一の協力をあおごうとしたにもかかわらず、決して警戒を崩さなかったのはなぜなのか。

そして、翔一自身もまた、姉・雪菜の死を探る過程で、あかつき号に乗っていたことが明らかにされつつある。
あかつき号の船上では、いったい、何があったのか。 翔一と、あかつき号の人々との間には、いったいどんな関係があるのか……。

風谷伸幸殺害事件

幼い頃から超能力──透視やサイコメトリングに目覚めていた真魚だったが、亡き父・伸幸の言いつけを守り、自分の能力のことはひた隠しにしている。
彼女の能力は強力だがムラがあり、たとえば彼女自身がどうしても明かしたいと願っていることも読み取れずにいる。
それは、2年前に父・伸幸を誰が殺したのか──である。

真魚の父・風谷伸幸は、2年前(1999年)の3月、何者かに殺害された。
外傷はなく、内臓だけが破壊されていた。自然死ではありえないが、さりとて普通の殺人でもない。担当の河野刑事の奮闘もむなしく、捜査は暗礁に乗り上げている。

真魚は、翔一の失われた記憶の中に、伸幸の最期の光景をヴィジョンとして読み取った。翔一が犯人のはずはないとしても、伸幸の臨終に立ち会っていたことは間違いない。
一方、河野の捜査では、伸幸が殺される直前に立ち寄った喫茶店で、中年紳士と口論していたことまでが判明している。
そして、榊亜紀が「アギト捕獲作戦」のメンバーを殺害した手口は、伸幸の遺体の状況に酷似していた。

果たして、犯人は翔一なのか。
喫茶店で、伸幸と口論していた美杉らしき人物か。
アンノウンの“不可能犯罪”によるものか。
それとも、超能力者のしわざか……。

涼の死と復活

父の死の謎を追って、“あかつき号”関係者を訪ね歩く涼。だが、涼の訪問を受けて関谷真澄は恐慌をきたす。彼が接触した篠原佐恵子榊亜紀が、つぎつぎと横死していたためである。
涼の存在を危険視した木野薫の指示を取りつけたことから、相良克彦がその超能力で涼を追いつめ、死に致らしめた。

ギルスとしての涼の死を惜しむ沢木哲也は、謎の青年に涼のよみがえりを願い出ようとするが、にべもなく拒絶されてしまう。

青年は、かつて成長途上の折り、初めての変身の後遺症に苦しむ涼と出会い、彼を治癒したことがある。回復した涼が衝動にかられて青年を攻撃したにもかかわらず、なすままにさせる寛容さを見せた青年である。
しかし、もはや彼は涼に救いの手を差し伸べようとしない。
沢木哲也はやむなく、相良克彦、風谷真魚といった超能力者の力で、涼を復活させようとする。

しかし、そもそも涼はどうして殺されることになってしまったのか?
榊亜紀の「時を早め」て超能力を開花させたのは、沢木哲也である。亜紀はその能力を使うことでアンノウンを呼び寄せ、自らの死を招いた。そのことで、あたかも涼が死神であるかのような印象が真澄に根づいてしまった。
また、涼を追いつめて殺した克彦の超能力もまた、沢木哲也が開花させたものだ。

彼が何の目的で行動しているかはともかく、彼のしたことは、「時を早め」たにすぎない。相手の人間が潜在的に持っている力を、表に引き出しただけのことである。しかし、その結果は、青年の指摘するとおり「悲劇」の連鎖でしかない。

たとえ哲也の思惑どおり、涼が復活を果たしたとしても、また同様の悲劇が繰り返されるだけなのだろうか?

“雪菜”の自殺と“沢木哲也”

アギトへの復讐を誓うギルスの攻撃を受け、そのショックから、翔一は一時的に記憶を取り戻した。
彼は、1年前、姉・雪菜の自殺の真相を知るべく、“津上翔一”という人物に会うために、フェリーボートに乗って事故に遭い、記憶を失ったのだ。
瀬戸内海の海岸に漂着した彼は、「津上翔一宛て」の封筒を持っていたことから、“津上翔一”ではないかと推測され、以来、そう呼ばれている。

1年前。
大学の比較宗教学研究室に所属していた雪菜は、超能力に目覚めはじめていた。
そこへ指導教授を訪ねてきた“本当の津上翔一”=沢木哲也ともども、雪菜を実験台として、人間の未知なる可能性を探るべく、3人の共同実験が始まった。
そんな中、沢木哲也と雪菜は恋に落ちる。2人の、最も充実した、幸せな時期だった。

だが、しだいに雪菜の超能力は強さを増していき、制御を失って暴走を始める。
そしてそこで何かが起こり、悲観した雪菜は自らの命を絶った。

恋人を失った沢木哲也が、それからどうしていたのかはわからない。だが1年後、謎の青年の“使徒”として行動を開始している彼がいる。
その目的はなにか。
いずれにしても、最愛の恋人を死なせてしまったことが、現在の彼の行動の契機になっていることは間違いない。

ちなみに、彼が“沢木哲也”と呼ばれたことも、自称したことも一度もないが、彼が謎の青年の逼塞する病院を訪ねたおりに“沢木哲也”と署名したことから、われわれは彼を“沢木哲也”と称している。

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