──昨年9月、瀬戸内海を航行中のフェリーボート“あかつき号”は、突発的な暴風雨に巻き込まれて遭難した。
当時、香川県警の巡査だった氷川誠の英雄的な活躍により、乗員乗客は一人を除いて救出された。その働きを買われ、彼はG3システムの装着員として、警視庁にスカウトされることになった。
あかつき号の救難信号を海上保安庁が無視したのは、当日の瀬戸内海は晴れ渡っており、イタズラと思いこんだせいである。だが、海保の幼なじみを訪ねてきた警視庁幹部を出迎えるために、巡視船が出払っていたという不幸な偶然も重なっていた。両庁の不祥事にも発展しかねないため、事件の全容は一般に詳らかにされていない。
しかし、口が固いのは“あかつき号”の生存者たちも同じこと。
生存者たちは、事件後もひそかに連絡を取り合いながら、人目を避けてひっそりと暮らしている。その中には、涼の父親も含まれていた。事件後、人が変わったようになって放浪していた父の遺品に、不審な人々のリストがあったことから、涼は「あかつき号事件」の謎に首を突っ込んでいくことになる。
リストの人々を訪ね歩く涼だったが、多くの人は事件後に転居を重ねたりしており、その足どりはなかなかつかめない。また、ようやく居場所を突き止めて訪ねても、「あかつき号で何があったのか」を話そうとする人物はいない。
あかつき号の生存者のひとり・三浦智子は、翔一に町で出会い、翔一を恐れながらも、翔一に接触を計ろうとした。
同じく生存者であり、三浦智子の親友だった篠原佐恵子は、現実から目を背けて幻想の中で生きる日々を送っていたが、その幻想の主軸をなしていたのは、「湖底に眠る聖なる戦部(いくさべ)」と、アギトの紋章であった。
しかし、三浦智子は謎の青年に殺され、篠原佐恵子はアンノウンの犠牲となる。
そんな中、あかつき号グループから差し向けられた榊亜紀が、大胆に翔一への接近をはかる。亜紀の狙いは、“アギト”の力をなんらかの目的のために利用しようというものだ。
だが、亜紀は涼と出会って心をひるがえす。涼の内面に強く惹かれ、共に生きていこうと思う……。
しかし、涼と亜紀が手を取り合った刹那、「アギト捕獲作戦」のあおりでギルスが特殊ガス弾に倒れ、亜紀は作戦メンバーに復讐を誓う。超能力(サイコキネシス)を開花させた亜紀は、その力で捕獲作戦メンバーをつぎつぎと殺害するうち、やはりアンノウンの犠牲となる。
一方、残されたあかつき号の人々は、涼と接触した篠原佐恵子・榊亜紀が続けざまに犠牲になったことに不審の念を抱く。サイコキネシスを発現させた相良克彦が、木野薫の指示で涼を襲撃し、涼はあえなく生命を落としてしまう。
船上で“アレ”を見たあかつき号の人々は、超能力に目覚めつつあるためか、アンノウンの襲撃対象となっている。
木野薫という人物によって、彼らの行動は律されている。たとえば、榊亜紀が翔一に接触したのも木野の指令と思われるが、彼らはどうして翔一=アギトと知っていたのか。また、翔一の協力をあおごうとしたにもかかわらず、決して警戒を崩さなかったのはなぜなのか。
そして、翔一自身もまた、姉・雪菜の死を探る過程で、あかつき号に乗っていたことが明らかにされつつある。
あかつき号の船上では、いったい、何があったのか。
翔一と、あかつき号の人々との間には、いったいどんな関係があるのか……。