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[演出部・前編]
演出部の仕事は、実際には、超わかりにくい働きのほうがメイン。
さらにディープな演出部の世界に、首をつっこんでみましょう!

“助監督”の名のとおり、監督の演出意図を具現化すべく、ありとあらゆる仕事をこなして撮影現場を切り盛りするのが、演出部のお役目。その仕事内容は多岐にわたりますが、アギトではおおむね、

おもな役割 具体的な仕事内容
チーフ助監督 対「現場」 スケジュール作成、現場の運営、予告編の制作など
セカンド助監督 対「人」 キャストやエキストラの現場への出し入れ、衣裳や持ち道具の手配など
サード助監督 対「物」 美術・装飾の手配、カチンコ打ちなど

といった感じに分担されています。

「カチンコ打ち」なんていうと、誰にでもカンタンにできる、つまらない仕事に見えるかもしれません。
たしかに、カッコよく片手で打つには熟練を要するけど、べつにカッコよく打つ必要もない。問題は、「カチンコに正しいカットナンバーを書き、正しい位置に出し、正しいタイミングで打てるかどうか」です。それは監督のカット割りを把握し、現在のショットの画角を見切り、撮影現場の状況を掌握していなければできない芸当。
逆にいえば、カチンコをなにげなく打っている助監督こそ、最高の助監督だったりします。前編の最初の写真のように……。

“トクサツ”はつらいよ

“アギトの力”をめぐる第36話〜46話の展開。“力”の表現として再登場の神木隆之介くん。

悪い言い方をすれば、隆之介くんは「出演」というより「合成素材」なのですが、実際に現場に来てもらっています。「いかにも合成」という絵にならないように、少しでもリアルな光の当たりかたをさせるための措置。

セカンド助監督・田澤氏が隆之介くんを抱えて、彼の飛ぶはずのコースを走ります。この映像は直接使うのではなく、「光の当たり方」を合成チームに示すためのもの。
45話まで来ると、「さ、隆くん、いつものやつ行くよ!」「うんっ!」と、2人の息もぴったり。微笑ましいやら心苦しいやら。
隆之介くんが飛ぶのをカメラが追うカットでは、合成される隆之介くんが、飛びながらカメラに対する角度を変えることになります(理屈わかります?)。
ロケ現場でブルーバック撮影しながら、足元のブルーバックごと隆之介くんを回す田澤氏。

その同じ日の夜、さらにセットでも合成の撮影がつづきます。
今度はチーフ助監督・鈴村氏が、隆之介くんの足元のグリーンバックを回します。昼間にやったのと同じようでいて、光の当たり方がちがうわけ。
映像のクォリティを上げようと思ったら、演出部もたいへんなら、隆之介くんもたいへん。

この日も撮影は延々とつづき…とか書くと、児童福祉法にニラまれるのでヒミツ。


36話、口から煙を吐いて人間を溶かすリザードロードことステリオ・デクステラ。
操演・高木氏や、装飾・赤星氏が煙の仕掛けをつくる一方で、演出部が総出でその表現を演出。

第1話、オーパーツ研究局ロケ。このシーンで北條透も初登場の予定だったが、惜しくもカット……という証拠写真。
タイムハウス・大久保氏のデザインを、造型&美術チームが総力をあげて作り上げたオーパーツは、とにかく巨大&精密。回転したり引っこんだり、実際に稼働するダイアル群がリアルです。

……ということは、助監督泣かせでもあり。誤作動でも起こそうものなら、撮影が止まってしまいます。サード・近藤氏は、配線やギミックのメンテのため、オーパーツの裏側に張りつきっぱなし。

縁の下に演出部はいる

カメラ横で「目線」をつくる田澤氏の手。

俳優さんに「ここを見てください」という指示ですが、映像の場合、視線がリアルな対象物の位置と一致するとはかぎりません(だからこそ助監督が目線をつくる)。簡単なようでいて、まさに演出を理解していなければできないこと。

37話、リザードロードに襲われた被害者に群がる通行人。いわゆる「エキストラ」ですが、彼らに演技指導をするのも助監督(とくにセカンド)の仕事。

劇場版のセカンド・木村氏が、田崎監督と演出プランを打合せ。
紗綾香がまだ幸せだった頃の、回想の夢のシーン。
監督がトイレに立ったスキを盗んで、監督の台本からカット割りを写し取る木村氏。助監督は助監督で、「監督がなにを考えているか」を把握するチャンスを虎視眈々とうかがってるわけです。

第7話、会議室に姿を消す北條の背中を、小沢澄子と氷川誠が見送るカット。
映る画角が狭いため、リアルなスピードでドアを開閉すると、まどろっこしく見えてしまいます。そこで、田澤氏がドアの後ろにひそんで、ドアを操作。

特機(特殊撮影機材)を現場に調達するのも演出部の役割。
イントレや移動車ならともかく、こんな大クレーンともなると、とても演出部だけでは手が足りません。
みんなに応援してもらわないといけないのですが、スタッフも人の子。「ご協力ください」と声をかけて、素直に応じてもらえるかどうかは、助監督の日ごろの人徳(?)。
こんなとき、『アギト』は一声でスタッフ総出に。

チーフ助監督をつとめるかたわら、監督もこなしている鈴村氏。その撮影現場に、劇場版やスペシャルで制作デスクを担当した大山氏から、栄養ドリンクの差し入れが。
「(365日24時間働く)鈴村監督さま」とあります。

冗談めかしてはいますが、「とにかく働く」アギトの演出部が、スタッフに愛されていることの証左のひとつ。

さて次回は、最終回の放送後に、美術部のお仕事「美杉家」をアップロードする予定です。
いよいよ最後の更新か?

[演出部・前編]
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