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はじめての装着
「緊急走行するトラックから、バイクがバックで発進」

「イメージは分かりますけど、でも小沢さん、実際にはそんなの無理ですよ!」
「何言ってるの。根性見せなさい!」

誰もが「そんなの普通CGだ」と口を合わせるコンセプトを、何とか実写で表現しようとしたところから、スタッフの根性の日々が始まりました………。

まず、発進プロセスのイメージボードを、タイムハウスの大久保氏に大量に描いていただきました。これを叩き台にして、問題点を洗い出します。

たとえば、当初は右のスケッチのように発進用タラップが展開することを考えていたのですが、「タラップの長さ=カーゴ(荷台)の高さ」になるので、傾斜角がキツすぎてバイクはまっ逆さまになります。タラップを伸縮する構造にすれば解決しますが、今度は強度的にバイクの重量(300kg はある)を支えきれない。
だから、タラップの構造と格納法は、「もう一考!」です。

タラップ方式が本当に最適なのか、後部からじゃなく横のウィングを開いて発進したほうがよくないか………スタッフ総出で議論を繰り返すうちに、しだいに「理想のGトレーラー像」が見えてきます。

発進プロセス・イメージ

セットを外から見るの図 カーゴ内部はセット。
発進シーンのために、実車の車高を再現する必要があったので、床が地上およそ2メートルという、異例の超高層セットになりました。
タラップ搬入
シミュレーションの結果、この車高からバイクが発進するには、「タラップの長さは最低でも4メートル」と判明。

バイクの重量を支えるため、鉄製のタラップを特注。
ハニカム構造にして、自重を少しでも押さえていますが、それでもやっぱり4メートル長の鉄のカタマリ。搬入にはスタッフ総動員です。

タラップはカーゴの床下に格納することに。
電動ローラーが回転して、タラップを展開・収容するしくみ。
収容されたタラップ
床は3層
タラップを収容するため、3層構造になっている床。→
ガードチェイサーの搬入
セットにガードチェイサーを設置するため、タラップを展開して駆け上がります。うまく上がれるかどうか、バイク担当の高橋氏(タケシレーシング)はドキドキ。

発進シーンもどきのアクロバットが、セット撮影のたびに、毎回必要になるってのも考えものですが、ちょうどいい訓練……?

鎮座するガードチェイサー

無事、セットに収められたガードチェイサー。

発進後・イメージ
さて、タラップもさることながら、ガードチェイサーがどっち向きで発進するかも問題です。「前進派」と「バック派」に分かれて、またも大議論。

「前進が理にかなってるし、そもそも仮面ライダーたるもの、バックなどしてはならん!」とは前進派の主張。
けれど、ガードチェイサー的には前進でも、Gトレーラーの進行方向とは逆走になります。発進後にターンしないといけないのは、小回りのきかないガードチェイサーには不利。それに、カーゴ内でずっとお尻を向けてるのはヤダ!

その2点が決め手になり、勝利を収めたのはバック派。

「バイクはバックできませーん」という、前進派のツッコミに対する美術チームの答えが、このカタパルト。
エア・コンプレッサーで駆動し、ガードチェイサーを後ろに押し出すしくみです。
カタパルト・レバー 発進用カタパルト

劇中で尾室巡査が操作するレバーがそれなのですが、冷静に考えると、なにもホントに動作する必要はないような……?
タラップの展開もしかり、そこを本当にやってしまうのが、美術チーム・大嶋&高桑コンビの意地。そうして、セットはどんどん謎のギミックに満ちていくと(笑)。

ハダカの1号車・2号車
一方、ロケーションで活躍する実車のベースは、ご存じメルセデス・ベンツの ACTROS 2535(1号車・左)と 2540(2号車・右)。

「車種選定は難航しそうだな」と思いきや、はからずも、車輌スタッフの糸賀氏(ロケバスや劇用車を運転してくれてます)が、トラックショーのカタログを肌身離さず持ち歩くほどの大型車輌マニアと判明。
まさかこんな身近にマニアがいたとは、灯台下暗しとはこのことです(←って、プロをつかまえてマニア呼ばわりはやめなさい)。

マニアの彼(←結局言うんか)も熱い目線を注いでいたのが、この ACTROS シリーズ。
「ベンツのトラック?!」とか驚く人もいましたが、1998年に23年ぶりにフルモデルチェンジをして話題をまき、去年のモーターショーやトラックショーでもトップクラスの人気を誇った車種です。

さっそく、ダイムラー・クライスラー日本に足を運んだ私たち、

「というわけで、ACTROS を提供してください
「いいですよ。仮面ライダーのためなら」
「放送まで、もう時間がありません(※ 12月でした)なるべく早くください
「いいですよ。ひと月で用意しましょう」
「あのー、改造したりタラップつくったりしなきゃいけないんで、いますぐもらえるとてっとり早いんですけど」
「いいですよ。色が白でよければ」
「えー、ベンツブルーがカッコいーのに。G3的にも青がいーなー。だったら、白いのを先にもらって、後で青いのもくれませんか
「2台ということですか? それに、青は特注しないと……」
特注してください
「分かりました。仮面ライダーのためなら」

………って、もうムチャクチャ。虫がいいにもほどがあります。
私たちの連発するワガママを、笑って聞き入れてくださったダイムラー・クライスラー日本も偉大なら、改めて『仮面ライダー』って偉大なんだなァと、つくづく思わされた一幕でした。

1号車・イメージ
1号車イメージ
2号車・イメージ
2号車イメージ
ベース車も決まり、いよいよ艤装(っていうのか?)。
ここはやはり、PLEX のデザインチームに! ということでイメージスケッチを描いてもらいました(G3やガードチェイサーのデザインワークの中核を担っているのが、鈴木氏以下 PLEX チームなのです)。

Gトレーラーを「ザ・警察車輌」たらしめる赤色散光灯は、警察車輌担当・倉田氏(旭商会)の腕の見せどころ。

倉田氏といえば、ドラマ『ショカツ』などでの活躍で名をとどろかす、ギョーカイきっての警察車輌マニア(←だからプロだってば)。
しかし、いかな彼をもってしても、ひょっとしたら世界最大! という赤色灯は、さすがに難敵。取りつけから電力消費の問題まで、一つ一つ手さぐりで進めるしかありません。

1号車建造中!

そんなこんなで、ようやくロケに突入! で次につづきます。

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