仮面ライダー555
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Jan. 25, 2005 劇場版サイト
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コラム
ラストメッセージ

『仮面ライダー555』、1年間ありがとうございました。

個人的な話ですが、『クウガ』後半から3年あまり、『仮面ライダー』に携わらせていただいて、これが最後のシリーズになります。
ファイズについては、またどこかで述べる機会もあろうかと思いますので、この3年間、何度も書こうとして、どうしても書けなかったことを、書かせてください。


『仮面ライダーアギト』のとき、わたしたちは、2人の大切なスタッフを失いました。

ひとりは、内山実さん(特殊造型M&M)
第1話〜5話のオーパーツを手がけていただいた造型作家です。
あれほど巨大で、複雑なギミックの入った造型物の制作は、すさまじい難事業でした。美術チームとの協同作業を経て、ようやく図面を完成させ、材料と造型スタッフも揃い、いざ実作業にとりかからんとした矢先の、不慮の事故でした。

もうひとりは、高橋輝男さん(タケシレーシング)。『仮面ライダーBLACK』あたりから、歴代のライダーマシンを乗りこなしてきた、本物の“仮面ライダー”。
「これまでのようなバイクアクション」を否定し、成田さんたちのトライアルアクションを主体に据えた『クウガ』。その意義は理解していても、自分自身がやってきたことを否定された悔しさが、くすぶっていたように思います。
そんな思いを、『アギト』で完全燃焼させようとしていた輝さん(と呼ばせてください)は、オープニングを本物のサーキットで、という無謀な提案にも喜んでくれ、燃えていました。しかし、オープニングの撮影直前に入院され、現場に復帰されることなく亡くなりました。


『アギト』の劇場版や最終話で、エンドロールに内山さんと輝さんへの献辞をつけようと、何度も試みました。しかし、お2人を「キレイな思い出」にしてしまう行為のような気がして、どうしてもできませんでした。
こうして、お2人について書いたりできるようになるまで、3年かかりました。

それが、わたしにとっての『仮面ライダー』の3年間だったかもしれません。

『アギト』なかりせば、内山さんも輝さんも、あれほど若くして亡くなることはなかったのではないかと、ずっと考えています。
「仮面ライダーに携われるのは、造型作家としての夢」とまで言ってくださっていた内山さん。事故に遭われたのは、この仕事を大切に考えすぎて、頭がいっぱいになっていたからではないか。
輝さんは、体の不調を感じていたにもかかわらず、「撮影が優先」と、周囲の心配を一蹴しつづけていました。あのとき、撮影をストップしてでも輝さんに病院に行ってもらえば、病気を早期に発見できたのではないだろうか……。

どんなに後悔しても、取り返しはつきません。
残されたわたしたちにできるのは、せめて、内山さんと輝さんがつくろうとして果たせなかった『アギト』を、少しでもすばらしい番組にするために、より頑張りつづけることだけでした。


『アギト』の現場ほど、明るく楽しい現場はなかったと思います。
でも、その“明るく楽しい現場”を担っていたのは、たとえば、お父上を亡くされた当日も翌日も、そのことをひた隠しに隠し、笑顔で演じつづけた賀集さんであり、火事で自宅が全焼したと知らされても、「撮影のほうが大事」と、平気な顔でカメラを担いで走り回りつづけた撮影助手・倉田さんであり………。
そこには、プロが自分の仕事をきっちりこなしているという以上のものがあった気がします。

「内山さんのために」「輝さんのために」「賀集くんのお父さんのために」───そんなようなキレイごとは、誰の口からも聞いたことがありません。
が、思い半ばで去っていった仲間のためにできるのは、ひとりひとりが、ひたすら“明るく楽しい現場”を守りながら、それぞれの役割を果たすことだけ……という思いは、誰の中にもあったような気がするのです。
わたしたちのつながりは、『仮面ライダーアギト』という番組をつくるために集まったスタッフ&キャストであることなのだから。

そんな『アギト』の、打上げのときだったと思います。

木野薫役の菊池隆則さんが、「一期一会」とおっしゃっていました。
よく「また集まろう」なんていうけれど、1つの番組のために集まったチームである以上、二度と集まることはありえない。たとえ集まったとしても、もはやそれは懐古でしかない。
だから、一期一会であるべきだし、一期一会が大切なんだと。
わたしたちは、すばらしいチームだった。それに報いるには、それぞれが、これからの一期一会を、大切にしていかなければならないのだと。

たしかに、『アギト』チームは、二度と集まりません。
内山さんや輝さんを抜きにして、『アギト』チームとは言えないから。
彼らを含めての“わたしたち”だから。


二度と集まらない『アギト』チーム。
二度と集まらない『龍騎』チーム。
二度と集まらない『555』チーム。

「チーム」は、クレジットされている方々だけではありません。

半田さんM梅澤さん&原田さん、泉さんM山之内さん、芳賀優里亜さんM岸さんたち、キャストのマネージャーのみなさん。キムこと木村さん、由美サンこと大橋さんたち車両部の方々。セット付の大野さん。おケイさんこと橋本恵子さんはじめ、JAEのアクション補助の方々。同じくJAEの村上さん・石垣さん。東京衣裳・大久保さん。スタジオ・エイティ渡辺さん&吉村さん&松沢さん。(元)三井グリーンランドの小柳さん。(元)ホンダ二輪フィルの畠山さん。東芝の関口さん。ボーダフォンの富沢さん・花岡さん。日本ファイトの橋本さん。野中さん・鈴木さん以下 PLEX の面々。菰田さん以下 Media Pit の方々。レインボー造型&樹々工房の造型チームの方々……。

そして、2003年6月22日の1万人エキストラの方々を筆頭に、番組を支えてくださった視聴者のみなさま。

わたしたちがふたたび集まることは、もうありません。
でも、わたしたちは、世界でいちばんすばらしいスタッフ&キャストに恵まれたと、心から言うことができる。そんなスタッフ&キャストの一員であれて幸せだったと、心から言える。

番組の高視聴率より、劇場版の大ヒットより、「わたしたちは、この番組のスタッフだった」と言えることが誇りです。
「わたしたち」と言えることそのものが、他の何にも替えがたく誇らしい。

本当に、ありがとうございました。


スタッフの多くは、つづいて新番組『仮面ライダー剣(ブレイド)』で奮闘中です。個人的にも、今度は一視聴者として、応援できるのが楽しみです。
また、『仮面ライダー』を離れ、それぞれの道を歩んでいくスタッフ&キャストも、また別の場所で、それぞれの一期一会を経ていくことと思います。かれらを、今後とも応援していただければ幸いです。

(白倉@プロデュース、2004.01.18 『555』最終話放送後)